わが家のダイニングには、イームズのシェルチェア(DSR)の正規品が一脚だけあります。
数年前に子供用に購入し、座り心地も見た目もお気に入りです。
今回もう1脚買い足そうと思ったら同じカラーはすでに廃盤になっていました。
違う色を買おうかとも思いましたが、ここ数年のシェルチェアの価格改定でお値段がかなり上がってしまい、当時3万円で購入したイームズ・シェルチェア(DSR)が今や円安やインフレの影響で55,000円~60,000円と2倍の価格に。ずいぶん高価になってしまいました…。
いろいろ調べてみるとイームズはリプロダクト品がものすごく充実していてびっくり。意匠権がすでに切れているため合法的にレプリカが作られてるんですねー。医薬品のジェネリックみたいな感じ⁉
しかしリプロダクト品も、本当に安価で自分で組み立てするタイプのモノから正規品同様、組み立ててすぐ使える形で届くモノまで品質はさまざま。正規品より遊び心のあるデザインやカラーなどが充実していることもあり、リプロダクトもアリかな?と興味があって試しに1脚買ってみました。
本物とリプロダクトで5倍以上ある価格差!気になる座り心地や見た目などどれぐらい違うのか比べてみました。
イームズのシェルチェアって?
イームズのシェルチェアは1950年代にアメリカのチャールズ&レイ・イームズ夫妻がデザインした椅子。ミッドセンチュリー家具の代表格で現在正規品のシェルチェアはハーマンミラー社製です。シンプルでモダン、斬新・合理的などのイメージがありますね。シェルチェアのオレンジやレッド・イエローなどのぱっと明るい暖色のものは部屋の差し色にもなります。
軽くて移動が楽で座り心地もよく、ダイニングチェアとしてもパソコンデスク用のチェアとしても使えます。一脚だけ置いてお部屋のアクセントにするといった使い方もよくされていますね。
わが家では、フリッツハンセンのセブンチェアとともに使用し、北欧×ミッドセンチュリーインテリアのミックススタイルに。

巷にあふれているシェルチェアのリプロダクト
比較的どんなお部屋にも合わせやすく、一脚置くだけでオシャレに見えるし座り心地もよい、イームズのシェルチェア。モダンデザインを気軽に取り入れやすい、安価なリプロダクト品は大人気のようです。
イームズチェアが木製家具ではなくプラスチック製の一体成型チェアで大量生産可能なところもリプロダクト品がたくさん出回る理由なのかもしれません。
実際、名作チェアと言われているYチェアのリプロダクト品は木製で製造工程も多いからか値段も数万円とリプロダクトながらお高めで、イームズのチェアほどは普及していません。
私が今回リプロダクト品でもいいかなと思った理由も、正規品もプラスチック製である、という点。正規品の座面はポリプロピレン製なんですが、これもやはりプラスチック。プラスチック素材って木製家具のように「長く使うと味が出てくる」というような経年変化はないですよね。。。残念ながら。
プラスチックの椅子に5万ってちょっと高くない?(と心の声が)。
ひょっとして座り心地もあまり変わらないのかな~と思って好奇心からリプロダクトを買ってみたのでした。
買ってみたイームズ リプロダクトチェア
一緒に使っているセブンチェアがウォルナットなので、北欧インテリアとも馴染みのよい木製脚のイームズシェルチェアのDSWのリプロダクト品を買ってみました。スチール脚はマメに掃除しないと輝きがなくなるし、ホコリも積もりやすいのでお手入れは木製脚のほうが楽だと思います。
3,000円台~とものすごく安いものもありましたが、自分で組み立て等ハードル高め。口コミを見てもガタつきやニオイなど品質が少し気になるところではあったので、組み立て済の完成品状態で届く、こちらの椅子を選びました。
カラーは濃いグレー(正規品で言うとスパローに近い色味)脚の色はウォルナットカラーの濃い茶色をチョイス。このお店の写真の感じが好みだったので思わずグレーを選んでしまいました。
photo by エア・リゾーム インテリア
価格もシェルチェアで8,000円台と手頃でリプロダクト品としても適正価格だと思います。
組み立て済ですごく大きな段ボールで届きました。開封後、ガタつきがないか等チェックしてすぐに使えるところがよかったです。
正規品と比較
自宅にある正規品のシェルチェアはDSR(スチール脚)なのでデザインは違いますが、正規品の高さや座り心地はDSR(スチール)もDSW(木製)も同じなので一緒のモノとしてくらべてみます。
座面の高さ
座面の高さはほぼ同じ。正規品は41㎝で、リプロダクト品は納品書と同梱されていた品質表示表に高さ45㎝とありましたが、並べてみるとほぼ同じぐらいの高さでした。
素材感・見た目や匂いは?
正規品のシェルチェアはポリプロピレン素材×スチール脚です。対してリプロダクト品はABS樹脂でベース部分は鋼、脚は天然木となっていました。
座面や背もたれ部分を手で軽く叩いてみると、正規品はコンコンという低い音がするのに対し、リプロダクト品のほうはカンカン、と少し響くような高い音がします。素材の違いからくる差でしょうかね。
触り心地に関しては正規品のほうがざらっとした質感で、リプロダクト品はつるりとした感触。見た目も正規品はマットなのに対し、リプロダクト品は少しツヤというか光沢がある感じです。
そしてリプロダクト品にはよく見ないとわかりませんが、一部背もたれ部分にプラスチック成型の凹みのようなものがありました。
買ってみたリプロダクト品は塗装仕上げのため、ペンキ臭があったらいやだな…と思っていましたが、届いたものは全くと言ってよいほどニオイはしませんでした。ちなみに正規品はプラスチック樹脂そのものに色をつけてから成型してあります。もちろんニオイなんてものはなく塗装剥がれの心配もありません。
座り心地を比較
一番違うのは椅子の背もたれの角度かもしれません。背もたれの角度がリプロダクト品のほうが直角に近いので座った時の姿勢がまっすぐに。
おしりへのフィット感は悪くはないけれど背もたれが浅くてリラックス感が少ないというか、座り心地はやはり正規品のシェルチェアのほうがいい感じです。独特の包み込まれる感じや背もたれのしなりがあります。
まぁこれも慎重に座り比べてみて感じる違いなので、ぱっと座ったぐらいではそんなに違いはわからないかもしれません。
我が家では子供がこの上に分厚い低反発クッションを敷いて高さを調節して座っており、今のところ座り心地がどうこうといったレベルではないので問題なしです。食べこぼしもすぐに拭けて、しみこまないプラスチック製椅子は木製椅子と比べとても使い勝手がいいです。
椅子の原産国と品質
正規品のシェルチェアはドイツのVitra(ヴィトラ)社にてパーツごとに生産され、中国にあるハーマンミラー社の工場にて組立されてハーマンミラージャパンに入荷されているようです。正規品の保証期間は5年間で保証書もついてます。
リプロダクトチェアのほうはメイドインチャイナ。中国で作られたものを日本で組立・検品もした完成品が手元に届きました。
私が今回購入した、ネットショップのエア・リゾーム インテリアは、大阪の宮武製作所という家具の製造・販売会社が運営しているネットショップで、品質管理もきちんと行われているようです。
口コミレビューがよさそうだったので買ってみましたが、届いたものはきちんと丁寧に梱包されていましたし、使用上の説明書もあり、ガタつきもなく子供に使用させる椅子として安全性は確保されているように思いました。
まとめ
リプロダクト品を買ってみて、家に届いて、初めて箱から出した時「意外といいんじゃない?」と正直思いました。子供に使わせるんだったらこれで十分だと思います。
座り心地は断然本物が上!
コロナの影響で休校になり、リモートワークになり、で大人も子供もダイニングにいる時間が長くなっていますが、シェルチェアに座っている子供は一日そこで作業してもしんどくないといっています。
大人はセブンチェアですがこちらも腰が痛くならず快適。9時5時ワークにも耐えうる椅子なんだと再確認しました。セブンチェアの方が木のしなりがある分座り心地が上な気がします。
リプロダクト品は劣化も早い。。。
リプロダクト品のほうは、今は使ってなくて、子供のカバン置きになっています(笑)。
使用後2年ぐらいたったころから大人が座るとぎーぎーと軋み音がしだしたので、これは不快だわ、と思いリビングから撤去。たまーに来客があったりしたとき用に使ってましたがどなたを座らせても「あれっ?」という顔になるので座り心地がよくないのだと思います~。
今回細かく比べてみて思ったのは、やっぱりリプロダクトはオリジナルの模倣品で本物は超えられない、ということ。ま、値段も製造工程の手間も違うし当然のことなんですけどね。同じ名前でもやっぱりこれは似て非なる椅子だと思います。イームズ風チェアですね。
椅子は毎日使うものだから、本物をメンテしながら使うのが一番なのかもしれません。